キッズ・ジュニア・シニア向けのジム教室の規約:保護者同意、送迎と引渡し、事故、高齢者の持病

子どもの教室は保護者が契約し、シニアの教室は家族が手伝う。契約する人と運動する人が分かれる教室の規約で、同意、引渡し、事故、健康情報をどう書くかを整理します。

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このページの要点

  • 18歳未満の入会は、保護者の署名のある同意書と保護者名義の申込みを入口の条件にする。「同意があったものとみなす」では同意の確認にならない(民法5条・120条)。
  • お預かりの時間を時刻と場所で定め、お迎えの遅れ・登録外の方への引渡し・一人での帰宅の扱いを決める。「帰宅時の事故は一切責任を負わない」は無効になり得る(消費者契約法8条1項)。
  • 子ども同士の事故や保護者の連帯責任の書き方は、民法712条・714条の枠を超えない。写真や健康情報は、保護者の同意を別に取る。
  • シニアは持病・服薬の申告を初回で終わらせず、毎回の体調確認と見合わせた回の扱いを決め、家族が申し込むときは本人の了承を確認する。

結論:子どもとシニアの教室は「契約する人」と「運動する人」が別人になる

キッズ・ジュニア向けやシニア向けの教室を持つジムやスタジオの規約で、最初に決めておくことは一つです。申込みをして料金を払うのは誰か、実際に体を動かすのは誰か、困ったときに連絡が届くのは誰か。この三つが同じ人であれば、大人向けの規約のままでも大きくは崩れません。ところが、子どもの教室では「保護者が申し込み、子どもが運動する」、シニアの教室では「本人が運動し、家族が申込みや連絡を引き受ける」という形が珍しくありません。人が分かれた分だけ、同意、連絡、引渡し、事故、個人情報に空白ができます。

免責の書き方の基本(消費者契約法8条)や、保険の考え方は、同じサイトの同意書と免責条項と事故と保険の契約書で詳しく扱っているので、ここでは子どもとシニアに固有の部分に絞ります。

保護者の同意はどこまで必要か:年齢ごとの整理

結論から言うと、18歳未満の子どもが自分で申し込んだ契約は、保護者(法律では「法定代理人」。通常は親権者)の同意がなければ取り消せます。民法は、成年を「年齢十八歳をもって」とし(4条)、未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意が必要で、同意なくした行為は取り消すことができる、と定めています(5条1項・2項)。2022年4月の改正で成年年齢が18歳になっているため、規約や申込書に「20歳未満」と書いたままの教室は、今のうちに直しておく必要があります。

実務上は、年齢で一律に扱うのではなく、子ども本人の年齢帯ごとに、誰が契約し、誰が同意し、誰が支払うかを分けて表にしておくと、申込みフォームも規約も組み立てやすくなります。

年齢帯ごとの契約・同意・支払の整理(一般的な目安)
本人の年齢契約の主体同意と確認支払名義押さえどころ
小学生以下保護者が申込者になる形が基本保護者が申込書に署名し、同意書も保護者が出す保護者本人が申込みの画面を操作できても、申込者の欄は保護者にする。個人情報の同意も保護者から取る。
中学生・高校生(18歳未満)保護者の同意を得たうえで本人が参加保護者の署名のある同意書。本人の署名だけでは足りない保護者名義が望ましい本人が一人で来店して申し込む形は、同意を後から確認できない。体験の時点で保護者の連絡先を取る。
18歳・19歳成年なので本人が契約できる保護者の同意は法律上は不要。ただし規約で保護者の同席を条件にするかは店が決める本人成年でも社会経験が乏しい世代への勧誘は、消費者契約法4条3項5号(不安をあおる勧誘の取消し)の場面になり得る。
成人(シニアを含む)本人。判断力に支障がある場合は後見人等家族が代行する場合は本人の意思確認と記録本人または家族(名義を記録)成年後見人がいる場合の契約は取り消し得る(民法9条)。家族の代筆と、本人の同意を分けて残す。

「同意があったものとみなす」では同意の確認にならない

子ども向けの規約で、実際によく使われている書き方があります。「未成年者が本サービスの利用を申し込んだ場合は、法定代理人の同意があったものとみなします」という一文です。事業者の側から見れば、同意を確認する手間を省ける書き方ですが、効果は期待できません。規約に書いたからといって、保護者が同意していなかったという事実が消えるわけではないからです。同意のない未成年者の契約は、保護者本人も、子ども本人も取り消せます(民法120条1項)。取消権は、追認できる時から5年間行使しないときに消滅しますが(同法126条)、その間は、規約が何を書いていても取消しの可能性が残ります。

さらに、「法定代理人の同意がないことを理由に取り消されても、すでに提供したサービスの対価の支払義務は免れない」と書き足す例も見られます。取り消された場合の返還の範囲について、民法は、行為の時に制限行為能力者であった者は「現に利益を受けている限度において」返還すれば足りるとしています(121条の2第3項)。規約でこれを上書きしようとすると、消費者契約法10条の審査を受ける可能性があり、書いた通りに通るとは限りません。同意の確認は、申込みの入口で、実際に取る方法を決めて実行するのが基本です。

条文例

利用規約 第◯条(18歳未満の方の入会)

118歳未満の方(以下「未成年のお客様」といいます。)が当店のクラスを受講するには、親権者その他の法定代理人(以下「保護者」といいます。)が、当店所定の申込書により申込みをし、保護者の署名のある同意書を提出することを要します。

2前項の申込みは保護者の名義で行い、会費その他の料金は、保護者名義の支払方法で支払うものとします。

3当店は、前二項の手続が完了するまで、未成年のお客様の入会を承認しません。体験レッスンの予約の際にも、お子様の生年月日と保護者の連絡先をお知らせください。

4保護者は、申込みにあたり、父母の双方が親権者である場合には、もう一方の親権者にも内容を伝え、お子様の受講について異議がないことを確認したうえで申し込むものとします。

第4項は、父母が共同で親権を行うことを原則とする民法824条の2を意識した確認です。日常の行為は単独でできるとされていますが(同条2項)、継続的で金額の大きい契約がこれに当たるかは事情によるため、申込者に確認を求める形にしておくと、後で親同士の意見が分かれたときの説明がしやすくなります。

送迎・見学・お引渡し:レッスンの「外側」の時間を決める

子ども向けクラスでトラブルが起きやすいのは、実はレッスンの最中よりも、その前後です。早く着いて待っている時間、終わってもお迎えが来ない時間、保護者の代わりに祖父母や知人が迎えに来る場面、更衣室やロビーでの子ども同士のけんかなど、レッスンの時間割には載らない時間が、事故や苦情の舞台になります。

実際の教室の規約には、「お迎えが遅れる場合は連絡してください」「自転車でお越しの場合やお迎えがない場合は、お家の方に一報しますが、帰宅時の事故には一切責任を負いません」といった定めが置かれていることがあります。店が連絡の努力をすることは書かれているものの、預かっている時間はいつまでか、お迎えが来なかったらどうするか、誰になら引き渡すかが書かれていません。最後の一文だけが、責任の全部を免れる書き方になっています。

子ども向けクラスの一日の流れと、規約で決める事項

到着〜開始前

入館の受付、待機の場所

開始の何分前から入館できるか。入館後は店が見守るのか、保護者の監督下か。

レッスン中

見学・付き添いの可否

保護者が見学できるか、フロアに入ってよいか。他の子の撮影の扱い。

終了〜お引渡し

引渡し先の確認

誰が迎えに来るか事前登録するか。登録のない人には引き渡さない扱いにするか。

お迎えの遅れ・不在

連絡の手順と延長の扱い

連絡の期限、延長の料金の有無、連絡がつかないときの店の動き。

流れの中で、店が子どもを見守る時間帯(責任をもって預かる時間)を、時刻と場所で明記するのが基本です。それ以外の時間帯は、保護者の監督下にあることを前提にして書きます。

「帰宅時の事故は一切責任を負わない」を書き直す

消費者契約法8条1項は、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項(1号)と、債務の履行に際してされた不法行為による責任の全部を免除する条項(3号)を無効としています。店が預かっている時間内の事故まで「一切責任を負わない」と書けば、この条に当たります。他方、店の管理がおよばない場面、たとえば保護者に引き渡した後の帰り道や、保護者が自分の判断で子どもを一人で帰らせた後の事故まで、店が責任を負う理由はありません。書き方の工夫は、この「店の責任がない範囲」を具体的に切り出すことです。

書き方の例(一般的な例) 送迎・お引渡し条項の直し方(一般的な例)

事故の責任

よくある書き方
通所中および帰宅時の事故については、当店は一切責任を負いません。
整えた書き方
当店がお子様をお預かりする時間は、レッスン開始の◯分前からレッスン終了後の引渡しまでとします。引渡し後および来店前の道中の事故は、保護者の管理下の出来事として、当店の責任の対象外とします。ただし、お預かりの時間内の事故について、当店の責任を免れさせるものではありません。

理由責任を負わない場面を、店の管理がおよばない時間帯と場所に限る。預かり中の責任の全部免除は無効になり得る。

お迎えの遅れ

よくある書き方
お迎えが遅れた場合はLINEでお知らせください。
整えた書き方
お迎えが終了時刻に間に合わない場合は、終了時刻の◯分前までにご連絡ください。連絡がなく終了時刻から◯分経過したときは、当店から保護者、続いて緊急連絡先に連絡します。延長が必要な場合の預かりは、◯分までとし、料金は◯円です。

理由連絡の期限、店の動き、延長の上限と料金を決めておくと、スタッフの対応が人によって変わらない。

引渡し先

よくある書き方
(定めなし)
整えた書き方
引渡しは、保護者または事前に登録された方に限ります。登録のない方がお迎えに来られた場合は、保護者に確認が取れるまでお引渡しをお待ちいただきます。

理由代理のお迎えを許すかどうかは店が決める。登録制にしておけば、本人確認の手間も短くなる。

条文例

利用規約 第◯条(お預かりの時間とお引渡し)

1当店がお子様をお預かりする時間は、レッスン開始の◯分前からレッスン終了後に保護者または登録された方へお引渡しするまでとします。この時間を除き、お子様は保護者の管理下にあるものとします。

2保護者は、お迎えに来られる方を事前に当店に登録するものとします。登録のない方へのお引渡しは、保護者への確認が取れるまで行いません。

3お迎えがレッスン終了時刻に遅れる場合は、保護者は、終了時刻の◯分前までに当店に連絡するものとします。連絡なく終了時刻から◯分を経過したときは、当店は、保護者及び緊急連絡先に連絡し、保護者への連絡がつくまでお子様を当店内でお預かりします。

4前項の場合の預かりが◯分を超えるときは、延長料金として◯円をいただくことがあります。

5当店の責めに帰すべき事由によりお預かりの時間内にお子様に生じた損害については、当店は法令に従い責任を負います。

第5項で責任の範囲を確認しておくと、第1項の「保護者の管理下」という書き方が、店の責任を一律に免れさせる条項と読まれるのを避けられます。

子どもの事故と、子ども同士の事故:責任の所在を分けて書く

子どものクラスで事故が起きたとき、店が問われる責任には二つの方向があります。一つは、預かっている子ども本人のけがで、保護者が店に責任を問う場面。もう一つは、子ども同士のぶつかりや、他の子へのけがを負わせた場面です。後者では、けがをさせた子の保護者にも責任が及ぶことがあり、民法は、責任能力のない未成年者が他人に損害を与えた場合に、監督義務者が責任を負うとしています(714条)。その前提として、未成年者は、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは責任を負いません(712条)。何歳から責任能力が認められるかは、一律の年齢が法律に書かれているわけではなく、事案ごとに判断されます。

よく見かけるのが、「未成年者が規約に違反した場合は、その法定代理人も連帯して責任を負います」という定めです。保証人のように連帯して全額を負担させる趣旨に読めるため、保護者から見ると、レッスンの内容もわからないうちに重い負担を約束させられる形になります。法律に書かれた監督義務者の責任(714条)を超えて保護者に連帯責任を負わせる書き方は、消費者契約法10条の審査を受け得るので、避けるのが無難です。設備を壊した場合の弁償や、他の会員への迷惑行為への対応は、保護者に費用負担を求める場面を、具体的に書いて足ります。

条文例

利用規約 第◯条(お子様の事故・けが)

1レッスン中、または当店がお預かりする時間内に、お子様にけが、体調不良その他の事故が生じたときは、当店は、直ちにレッスンを中止して必要な応急の措置を行い、保護者及び緊急連絡先に連絡します。必要に応じ、救急に連絡します。

2当店は、前項の対応について、日時、状況、対応の経過を記録し、保護者の求めに応じて内容をお伝えします。

3保護者は、お子様の健康状態に関する申告(持病、アレルギー、服薬、最近のけがその他)を最新の内容に保つものとし、変更があったときは速やかに当店に知らせるものとします。

4お子様が他のお子様にけがをさせ、又は設備を損壊させたときは、当店は、事実を保護者に連絡し、双方の保護者への説明に必要な範囲で状況を共有します。損害の負担は、法令に従って当事者間で解決するものとし、当店は、当店の責めに帰すべき事由がある範囲で責任を負います。

5当店は、当店、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失による場合を除き、当店の軽過失によりお子様に損害を与えたときの賠償額を、直近◯か月の会費相当額を上限とします。

第5項は、上限を設けるなら、故意・重大な過失を除くことを、上限を定める一文の中に書く(消費者契約法8条3項)という考え方に沿った例です。上限を設けるかどうか自体は、店が決める事項で、設けない選択もあります。

子ども向けクラスに固有の規約事項:年齢、運動負荷、写真、個人情報

年齢・身長の基準と、クラス移行のルール

子ども向けのクラスには、年齢や身長の下限を設けている教室があります。器具の安全上の理由で下限を設けるのであれば、「何を理由に、誰がどう確認するか」まで規約に書いておくと、基準を満たさない申込みを断るときの説明になります。「入会時の年齢」「学年」「身長」のどれを基準にするかで、基準日と、進級・進学でクラスを移る時期の扱いが変わります。年度の途中で基準を超えたときは、クラスをどう移すか、料金が変わるか、回数券の残りをどう扱うかも書いておくと、保護者との行き違いが減ります。

子どもは体調不良や学校行事で急に休むことが多いため、当日のキャンセルを消化扱いにするなら、学校行事や感染症による出席停止などの例外を併せて書いておきます(返金ルール、キャンセルと休会と共通の考え方です)。

体験と勧誘の場面

勧誘の場面にも注意が必要です。子どもや10代の若い世代に、容姿や体型に関する不安をあおって契約を勧める話し方は、消費者契約法4条3項5号が取消しの対象としている場面に近づきます。この号は、社会生活上の経験が乏しいことから容姿や体型に関する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、合理的な根拠がないのにその不安をあおり、役務が必要だと告げることを取消しの対象にしています。声かけの方針は文書にしておきます。効果表示の一般的な注意は効果表示・口コミ・SNSで扱っています。

写真・動画と個人情報:保護者の同意は何について取るか

子どもの教室では、レッスンの様子の写真や動画をSNSや案内に載せたい、という要望がよくあります。個人情報保護法の整理では、本人の同意が必要な場面は、第三者提供や目的外の利用などに限られ、利用目的の公表は別のことです。個人情報保護委員会のQ&A(Q1-62)は、同意をしたことによって生ずる結果を判断できる能力を有しない子どもについて、「一般的には12歳から15歳までの年齢以下の子どもについて、法定代理人等から同意を得る必要がある」と考えられる、としています。年齢の目安は取り扱う情報や事業の性質によって変わるため、子ども向けの教室では、年齢にかかわらず、保護者から同意を取る運用にしておくのが無難です。

アレルギー、持病、服薬のような健康に関する情報は、病歴に当たり得る要配慮個人情報で、取得には原則として本人の同意が必要です(個人情報保護法2条3項・20条2項)。子どもの場合は保護者から取得するため、申込書の記入欄の近くに、使う目的(安全にレッスンを行うため)を書き、同意を求めます。ポリシー全体の作り方はプライバシーポリシー、カルテの管理はカルテと健康情報で扱っています。写真・動画の同意は、利用目的の列挙に埋め込まず、別の同意書にして、媒体、期間、撤回の方法を書きます。他の子どもが写り込む場合の扱い(保護者の撮影を許す範囲、SNSへの掲載の禁止)も、規約に書いておきます。

シニアの教室:持病、服薬、体調の日内変動をどう規約に落とすか

高齢の方の教室では、年齢そのものよりも、持病や服薬、過去の骨折や手術の有無、日によって変わる体調が、安全の前提になります。規約で最初にやっておきたいのは、「運動をしてよいか」を店が一人で判断しない形にすることです。かかりつけ医の許可を条件にするのか、お願いにとどめるのか、許可の書面を求めるなら誰がいつまでに出すのか、といった点を、申込みの手順の中に組み込みます。

実際の規約には、「持病、既往歴、怪我、妊娠その他の健康上の懸念がある場合は、医師の指示に従い、自己の責任において利用する」という書き方があります。一見、安全に配慮した書き方ですが、課題が二つあります。一つは、「自己の責任において」が、店の責任を一律に外す書き方と読まれ得ること。もう一つは、医師の指示をどう確認するのか、店側の動きが決まっていないことです。申告と確認の流れを店側の手順として書き、申告を受けた後に店が何をするかまで規約に置くと、双方に使いやすい規約になります。

また、スタジオの規約には、利用を禁止する人の条件として、特定の疾病名を挙げて一律に禁止する書き方が残っていることがあります。病名で一律に利用を断るのではなく、「医師から運動を禁じられている間」「感染のおそれがある間」といった状態と期間で書く方が、配慮のうえでも、運用のうえでも妥当です。年齢だけを理由に断る書き方も、運動の安全上の理由を併記しないと、配慮を欠いた印象を与えます(同意書と免責条項)。

体調確認を、毎回の手順にする

高齢の方は、同じ人でも日によって血圧や体調が変わります。そのため、初回に健康状態の申告を取ったら終わり、ではなく、毎回、受付で体調を確認する手順を規約に置いておくことが、事故の予防と、事故が起きたときの説明の両方に役立ちます。確認する項目は、多くしすぎると現場が回らなくなります。体調が悪い日は見合わせることを前提に、「発熱、めまい、胸の痛み、息苦しさ、前日の睡眠不足、薬を飲み忘れた」など、その教室で実際に確認できる項目に絞ります。確認の結果、見合わせたときの回数券の扱い(消化するか、振り替えるか)も、先に決めておきます。

条文例

利用規約 第◯条(健康状態の申告と当日の体調確認)

1お客様は、入会の前に、当店所定の問診票により、持病、既往歴、服薬、過去の手術やけが、医師から運動について指示を受けている事項を申告してください。

2当店は、前項の申告の内容に応じて、かかりつけの医師に運動の可否を相談していただくようお願いすることがあります。お願いするときは、その理由と、確認していただきたい内容をお伝えします。

3担当者は、毎回のレッスンの前に、体調の確認をします。発熱、めまい、胸の痛み、息苦しさ、強い疲労その他、安全にレッスンを行えないと担当者が判断したときは、レッスンを見合わせ、又は内容を変更します。この場合のレッスンは、回数に数えません。

4レッスン中に体調に異変を感じたお客様は、直ちに担当者に申し出てください。担当者は、レッスンを中止し、緊急連絡先に連絡し、必要に応じて救急に連絡します。当店は、医療行為を行いません。

5お客様が申告の内容を偽り、又は申告すべき事項を申告しなかったことにより生じた損害のうち、その申告の誤り又は不申告が原因である部分については、当店、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失による場合を除き、当店は責任を負いません。

第5項は「原因である部分」に限定し、故意又は重大な過失を除くことを、責任を免れる一文の中に書いた例です(消費者契約法8条3項)。申告違反を理由に店の責任の全部を免れる書き方にはしていません。第3項の「回数に数えない」は、店が安全のために見合わせたときの扱いです。

家族が申し込む・家族に連絡する場合

シニアの教室では、息子や娘が親の教室を探し、申込みの手続きを手伝う、という形が珍しくありません。このとき気をつけるのは、契約の当事者はあくまで本人であり、家族は本人を手伝う立場か、本人から委任を受けた代理人か、本人に代わって契約するのか、という整理を最初にしておくことです。家族が本人に代わって契約するのであれば、本人から代理権を与えられていることを確かめる必要があります。生活支援のサービスの規約では、利用者以外の者が契約者になる場合、利用者本人が同意したことを証する文書(委任状や同意書など)を提出させる、という取り決めを置く例があります。同じ考え方が、シニアの教室にも使えます。

本人の判断力に不安がある場合は、さらに慎重に考える必要があります。成年後見人がついている方の契約は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消し得るとされています(民法9条)。また、加齢や心身の故障により判断力が著しく低下している消費者が、生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおる勧誘をすることは、消費者契約法4条3項7号の取消しの対象になります。「運動をしないと寝たきりになる」といった、不安をあおる声かけを営業の場面で使わないことを、スタッフ向けの案内に書いておくことが、予防になります。

条文例

利用規約 第◯条(ご家族が申込みや連絡を担当される場合)

1ご家族その他お客様ご本人以外の方が、お客様に代わって申込みを行うときは、お客様ご本人がその申込みを了承していることを確認できる書面(同意書、委任状その他の記録に残るもの)を提出してください。

2当店は、前項の確認ができないときは、申込みを承諾しません。

3お客様ご本人以外の方への連絡は、お客様があらかじめ届け出た緊急連絡先と、連絡する内容の範囲に限ります。健康状態に関する情報は、お客様ご本人の同意がある場合に限り、緊急連絡先にお伝えします。ただし、お客様の生命又は身体の保護のために必要がある場合は、この限りでありません。

4ご家族が、レッスンの見学や付き添いを希望されるときは、事前に当店にお知らせください。

第3項のただし書は、個人情報保護法27条1項が本人の同意なしの第三者提供を認める場合のうち、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合を意識した書き方です。

よくある失敗と直し方

ここまでの内容を、規約や申込書の実務で目にする書き方の失敗と直し方として、まとめておきます。条文の引用は、説明のために新しく書いた例です。

書き方の例(一般的な例) キッズ・シニア向け規約でよくある失敗と直し方

同意の確認

よくある書き方
未成年者が本サービスを利用した場合、法定代理人の同意があったものとみなします。
整えた書き方
18歳未満の方の入会には、保護者の署名のある同意書と、保護者名義の申込み・支払を必要とします。手続が完了するまで入会を承認しません。

理由「みなし」では同意の事実は作れない。取消しの可能性が残る(民法5条2項・120条1項)。

年齢の書き方

よくある書き方
20歳未満の方は保護者の同意が必要です。
整えた書き方
18歳未満の方は保護者の同意が必要です。

理由成年年齢は18歳(民法4条)。古い書き方のままだと、18歳・19歳の扱いが規約と法律でずれる。

保護者の連帯責任

よくある書き方
未成年者が規約に違反した場合、保護者は連帯して責任を負います。
整えた書き方
設備を壊した場合の弁償や、他の会員への迷惑行為への対応について、保護者に求める内容を具体的に書く。

理由包括的な連帯責任は保証に近い。監督義務者の責任(民法714条)を超える部分は、消費者契約法10条の審査を受け得る。

事故の免責

よくある書き方
通所中・帰宅時を含め、事故については一切責任を負いません。
整えた書き方
お預かりの時間を時刻と場所で定め、引渡し後や来店前の道中は保護者の管理下とする。預かり中の当店の責任は法令に従う。

理由責任の全部免除は無効(消費者契約法8条1項1号・3号)。

健康状態の確認

よくある書き方
持病がある方は、自己の責任において利用してください。
整えた書き方
問診票で申告を受け、必要に応じて医師への相談をお願いする。毎回の体調確認で見合わせる場面と、回数の扱いを書く。

理由「自己責任」は店の責任の全部免除と読まれ得る。確認の動きを店側の手順にする。

ヒヤリングで確認すること

キッズ・ジュニア・シニア向けの規約を作る前に、店から聞いておくことを、理由とあわせて整理します。回答次第で、同意書の様式、引渡しの手順、条文の書き方が変わります。

ヒヤリングの問いと理由 子ども・シニア向けクラスの規約を作る前の確認

問いなぜ聞くか
  1. 受け入れる年齢と、クラスの区分は。下限と上限の基準は年齢、学年、身長のどれですか。
    同意が必要な年齢の線と、年齢の基準日、進級・進学でクラスを移る時期の扱いを決めます。
  2. 申込みと決済は誰の名義ですか。祖父母が支払う場合はありますか。
    保護者名義の支払いを条件にするか、支払者と契約者が違うときの扱いを決めます。
  3. レッスンの前後に、子どもだけで待つ時間はありますか。保護者は見学できますか。
    預かる時間の範囲と、見学・付き添いのルールを決めます。
  4. お迎えは誰が来ますか。祖父母や知人が代わりに来ることはありますか。
    引渡し先の登録制にするか、確認の手順を決めます。
  5. 写真・動画をSNSや案内に使いますか。保護者の撮影は認めますか。
    写真の同意を別の書面にするか、他の子の写り込みの扱いを決めます。
  6. シニアの方から、どんな持病や服薬の申告が多いですか。医師の許可書を求めていますか。
    申告の項目と、許可書を条件にするかお願いにとどめるかを決めます。
  7. 体調確認は、毎回、誰が、何を確認しますか。見合わせたときのレッスンの扱いは。
    現場で続けられる項目に絞り、見合わせたときの回数の扱いを先に決めます。
  8. ご家族が申込みや連絡を担当する方はいますか。連絡先に健康状態を伝えてよい範囲は。
    本人の同意の取り方と、緊急時に伝える内容の範囲を決めます。

よくあるご質問

未成年の子どもの入会に、保護者の同意書は必要ですか?

18歳未満の方の契約は、保護者の同意がなければ取り消せる(民法5条1項・2項)ため、同意書は実務上必要です。「未成年者が申し込めば同意があったものとみなす」と規約に書いても、同意の事実は作れません。申込書は保護者名義にして、署名のある同意書を入会の条件にします。

18歳・19歳は保護者の同意が必要ですか?

成年年齢は18歳(民法4条)なので、法律上は本人が契約できます。保護者の同席を条件にするかどうかは店が決める事項です。子ども向けクラスの年齢の上限を規約に明記し、規約や申込書に「20歳未満」と残っている部分は直しておきます。

「帰宅時の事故は一切責任を負わない」と書いてもよいですか?

預かっている時間内の事故まで含めて責任の全部を免れる書き方は、消費者契約法8条1項で無効になり得ます。お預かりの時間を時刻と場所で定め、引渡し後や来店前の道中は保護者の管理下とする、というように、店の管理が及ばない範囲に絞って書きます。

お迎えが遅れたり、保護者以外の方が迎えに来たりしたときは、どうしますか?

規約で、連絡の期限、延長の上限と料金、連絡がつかないときの店の動きを決めておきます。引渡し先は事前に登録した方に限り、登録のない方には、保護者に確認が取れるまでお引渡しを待っていただく形にするのが一般的です。

高齢の方に持病がある場合、医師の許可書は必要ですか?

法律で一律に決まっているわけではありません。医師への相談をお願いにとどめるか、許可書の提出を条件にするかは店が決めて、規約に書きます。条件にするなら、誰が、何を、いつまでに出すかを具体的に書き、毎回の体調確認と、見合わせたときの回数の扱いも決めておきます。

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本ページは一般的な情報提供です。法令の解釈や行政の運用は、個別の事情や今後の改正・通知によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は、法令の原文と官公庁の公表資料で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 国民生活センター / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会) / 個人情報保護委員会

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