パーソナルジムのフランチャイズ契約(本部・加盟店)

FC契約は事業者どうしの契約です。消費者契約法の代わりに、民法・独占禁止法と、本部の義務の具体性が問われます。

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本部の支援を曖昧にしたまま加盟店の違約金だけを強くすると、支援の不履行をめぐる反対の請求を招きやすくなります。

このページの要点

  • 加盟金・研修費は「理由を問わず返還しない」ではなく、終了の事由ごとに返還の算式を置く。
  • ロイヤリティの対象売上は、現実収受額・返金の控除・回数券の計上時点・税込か税別かまで定義する。
  • 中途解約金は、何を回収するための金額かを算式で説明できる形にし、終了の時期ごとに試算する。
  • 価格の統一はブランドの維持に必要な範囲にとどめ、本部の支援は最低水準として数字で書く。

結論:パーソナルジムFCの論点は8つ。本部の義務を先に具体化する

パーソナルジムのフランチャイズ(FC)契約で問題になるのは、①加盟金・研修費の返還、②ロイヤリティの算定の基礎(回数券・返金・税込か税別か)、③お客様の代金の決済の名義、④トレーナーとの契約の当事者、⑤身体の安全と保険、⑥中途解約金、⑦価格の統一、⑧契約前の説明です。ここでは、特定の競技に特化したパーソナルトレーニングジムのFC本部の案件(AIで作成されたひな型→詳細リーガルレビュー→加盟契約書の改訂)と、パーソナルジムの事業資産の売買・トレーナー業務委託・FC加盟の三点契約の案件をもとに、FC契約書そのものの設計を紹介します。

FCの加盟者は事業として契約する者なので、消費者契約法は原則として適用されません(同法2条1項・2項)。解約金や違約金も、消費者契約法の「平均的な損害」ではなく、民法90条(公序良俗)や信義則、独占禁止法の観点から見ることになります。だからこそ、事務所のレビューでは、本部の義務を曖昧にしたまま加盟店の違約金だけを強くすると、支援の不履行をめぐる反対の請求を招きやすいとして、支援の内容・算定の根拠・記録と精算を先に整え、その後にブランドの保護と終了時の負担を定める順序を勧めました。

加盟金・研修費は、終了の事由ごとに返還の算式を置く

事務所の書類での改訂 加盟金・研修費

支払期限

原案
【依頼者のひな型】「締結時」と「締結後14日以内」が不一致。
改訂
締結日から14日以内に統一しました。

理由同じ契約書で期限が二つあると、遅延の起算日が決まりません。

返還

原案
【依頼者のひな型】理由を問わず返還しない。研修が一部しか実施されないまま終了した場合の清算なし。
改訂
返還しないことを原則としつつ、終了の事由を「本部の責めに帰すべき事由による終了・加盟店の解除」「加盟店都合による開業前の終了」「それ以外の事由による研修の未実施」の3類型に分け、返還額の算定方法を明記しました。所定の回数の研修を終えずに終了した場合は「研修費−研修費×実施回数÷所定の回数」。

理由「理由を問わず返還しない」は、本部の不履行や研修の未実施にも及ぶ文言になってしまいます。

加盟店都合の開業前の終了

原案
【依頼者の回答】加盟者側の事情の場合は対応を考えたい。
改訂
固定の算式ではなく、研修の実施状況を考慮して協議する形にしました。認定基準を満たさない場合の追加研修は、要否・期間・費用を協議し、追加の加盟金は取らないことにしています。

理由依頼者の回答をそのまま条文の柔軟さとして反映しました。

三点契約の依頼者原案(AIドラフト)のFC加盟契約は、加盟金と立ち上げ支援費用(いずれも高額)を「いかなる場合にも返還されない」とし、支払済みのロイヤリティも一切返還しない、としていました。上の3類型化と比べると、終了の事由によって扱いを変える余地のない書き方だと分かります。

ロイヤリティの算定の基礎と、回数券の計上の時点

FC本部のひな型は、「現地収益」という算定の基礎が不明確で、初号店の段階料率(開業後一定期間は当初の料率、その後は引き下げた料率)と本文の固定の料率が抵触し、広告費は「協議で決定」、本部名義での一元管理だけで送金の期日や精算の明細がありませんでした。

  • 対象売上の定義:現実に受け取った額のみを計上し、返金は返金した月の対象売上から控除し、回数券は販売時ではなく利用時点で計上する、と定義しました。ヒヤリングで税込を希望されたため、対象売上を税込と定義し、消費税の二重計算を削除しています。
  • 料率の書き方:依頼者の指摘を受け、「年○パーセント」という年次の表記を「毎月の対象売上の○パーセント」に改めました。月次の料率を「年○%」と書く誤記は、金額が10倍以上違ってくる大きな食い違いです。
  • 料率の設計:通常店の料率と最低額は未定で事務所の提案を希望するとの回答でした。料金・価格の変更・広告の運用で店舗ごとの個別の交渉を避け、本部の基準を一律に適用する方針がうかがえたため、通常店は一定の料率の固定とし、初号店の段階料率は立ち上げに協力する最初の加盟者への期間限定の優遇として、2号店以降には及ぼさない形を提案し、依頼者の判断で確定しました。
  • 広告支援:事前に予算・内容・運用手数料を示し、加盟店の書面の承認を得た範囲でのみ負担する、としました。月次報告の記載事項と訂正の期限も定めています。
  • 少額の月の繰越し:ロイヤリティが一定額未満の月は翌月に繰り越せるというひな型には、繰越しは免除ではないこと、累積の繰越し・終了時の精算・売上ゼロの月の扱いも定めるよう指摘しました。

回数券の計上の時点は、段階料率と組み合わさると負担を大きく左右します。例えば当初の料率の期間を「開業後3か月」と定めた場合でも、暦月方式(開業月を第1月とし、4月20日に開業すれば6月30日まで当初の料率・7月1日から引き下げた料率)と、応当日方式(7月19日まで当初の料率・7月20日から引き下げた料率で、月の途中で売上を区分)では、適用期間が違います。事務所は、どちらで数えるかを契約に書くこと、更新後も引き下げた料率が続くことを明記し再開業で自動的にリセットしないこと、回数券を販売時に全額計上するか利用時に配賦するかで当初の料率の期間と引き下げた料率の期間の負担が変わるので契約前に説明することを指摘しました。トレーナーの歩合率を「最初の3か月は○%」と段階的に変える場合にも、同じ問題が起きます(トレーナー報酬)。

判例の使い方にも注意が要ります。事務所の詳細レビューでは、コンビニエンスストアのFCのチャージの計算で売上原価に廃棄・棚卸しのロスを含めるかが争われた最高裁判決(平成19年6月11日)について、契約の文言・他の条項・締結の経緯を総合して解釈したものであり、料率表・本文・説明資料・精算システムの計算を一致させる示唆として紹介しつつ、段階料率の水準の適法性や解約金の妥当性を判断した判例ではない、と線を引きました。本部が加盟店の売上を収納するなら、本部の報告義務を認めた最高裁判決(平成20年7月4日)を踏まえて、入金・控除・返金・送金を明細にすることも検討事項に挙げています。

お客様の代金の決済の名義は、決済サービスの規約で決まる

FC本部は当初、決済サービスを本部名義で使い、本部から加盟店に送金する仕組みを考えていました。事務所は、POSによる売上の管理と、カードの加盟店契約の名義は別物であること、依頼者が利用予定の決済サービスの規約には、利用者自身の申請、届出をした店舗、取扱者とIDの管理、本人名義の口座、第三者による機器・名義などの利用の制限、事前の承諾のない業務委託の禁止などの定めがあること(取扱者の制度があるので、スタッフの操作だけで直ちに違反とは断定しない)を指摘し、販売者・売上債権者・登録店舗・カード加盟店・口座・操作者を一覧にして、本部名義でのFC利用の可否と必要な承認を開業前に確認するよう求めました。承認が確認できていない方式を、確定した運用として契約に書かないためです。

依頼者が決済事業者に確認した結果、契約の名義は加盟店でなければならないことが確定し、加盟店名義の決済に一本化して、本部の収納・送金の仕組みは契約から削除しました。チャージバックは加盟店の負担としています。本部の収納がなくなったことで、閉店のときにお客様の未提供分を誰が返金するか、返金の原資を本部の収納からどう確保するか、という当初の論点も、加盟店の側の問題として整理できるようになりました。法人化の際には、決済サービスの変更の届出・再審査、口座、旧取引の返金・チャージバック、お客様の課金の停止・切替えを確認し、承継日と合わせることも指摘しています。

中途解約金は、数字で検証してから決める

依頼者の条件は、通常店3年、中途解約金は「年度別の固定額(第1年度が最も高く、年度ごとに下がる)」と「残存月数×一定額」の低い方、初号店1年・自動更新、というものでした。事務所は、終了の時期ごとに金額を試算しました。3年契約で6か月目に終了すると第1年度の固定額(残存月数×一定額の方が高いため)、13か月目の終了で第2年度の額、35か月目の終了では残存月数×一定額の1か月分、というように、終了の時期によって額が段差状に変わります。初号店(1年)に第1年度の額をそのまま流用すると、短い契約に不釣り合いな額になります。端数の月の切上げは残存期間が短い場合にも負担を生じさせること、通知日と終了日のどちらを基準にするかは終了日で統一すべきことも指摘しました。

そのうえで、加盟金・研修費で回収する費用、追加の開業支援費、ロイヤリティに含まれる支援の原価、終了で削減できる費用、代わりの加盟店に再び許諾できる可能性が示されていないため、提示された金額を相場や適法な上限として評価することはできない、と率直に伝え、三つの設計案(初号店は3か月前の予告で追加の解約金なし/重複しない未回収の初期支援費+短期間の合理的な利益の喪失額に上限を付ける/直近の平均ロイヤリティを代理の指標とし補償の月数と残存期間で上限を付ける)を示しました。いずれも法律で定められた安全な基準ではなく、実費の確認前の確定額でもないことを明記しています。

事務所の書類での改訂 中途解約金・更新・解除

通常店の中途解約金

原案
【依頼者の条件】年度別の固定額と残存月数×一定額の低い方。
改訂
「本部が現に要した個別支援費用のうち未回収の額」+「残存期間に対応する合理的な逸失利益相当額(直近3か月の平均ロイヤリティ額を基準)」とし、上限を加盟金と研修費の合計としました。

理由何を回収するための金額かを、算式で説明できる形にしました。

初号店の中途解約金

原案
【依頼者の回答】初回の1年契約にも解約金を設けたい。
改訂
逸失利益の要素を除き、未回収の支援費用のみ(上限は同じ)としました。

理由立ち上げに協力する加盟者への軽い算式です。

更新・解約・解除

原案
【依頼者の条件】初号店1年・自動更新。
改訂
満了3か月前までに更新しない旨の通知がなければ1年の自動更新、本部の更新拒絶も同じ期限・方式。任意の中途解約は3か月前の書面の予告。期間満了による不更新は中途解約に含まれないこと、本部の責めに帰すべき事由による解約は解約金なし、催告解除と無催告解除(限定した事由)を分け、軽微な不履行では解除できない、解約金と損害賠償の重複請求の禁止、損害賠償の上限は直近1年のロイヤリティ総額(故意・重過失を除く)と過失相殺を定めました。

理由終了の場面を類型に分けておくと、どの場面でいくら払うのかが一目で分かります。

解約金の消費税も、性質と合わせて整理します。解約の事務の役務の対価は課税、逸失利益の補填は課税の対象外とする国税庁の考え方からすると、ひな型の一律の「消費税別」は解約金の性質と整合しません。また、任意の解約金の支払を契約終了の効力の要件にすると、未払いのまま契約が終わらず、ロイヤリティが際限なく増える構造になるため避けるよう指摘しました。「解約金は数字で検証してから決める」という考え方は、トレーナー契約や会員の中途解約金にも通じます(会員の返金ルール)。終了時には、看板などの撤去、お客様への周知と未提供分への対応、精算、教材の返還を定め、他の加盟店への引継ぎを希望するお客様には、同意を得て情報を提供できることも定めています。

価格の統一、本部の支援の最低水準、トレーナーとの契約、制裁

ヒヤリングで、料金は全店一律、値引きも本部のルールで管理したいとの回答を受け、加盟店は本部の料金表に従い、本部の事前の書面の承認なく対価の変更・値引きをしない旨を新設しました。ただし、加盟店に価格を守らせ値引きを制限することは、独占禁止法の不公正な取引方法(拘束条件付取引など)に当たり得る類型です。公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」は、統一的営業・消費者の選択基準の明示の観点から必要に応じて希望価格を提示することは許容されるとする一方、本部が加盟者に商品を直接供給していない場合でも、加盟者が供給する商品又は役務の価格を不当に拘束すれば一般指定12項(拘束条件付取引)に該当し、地域市場の状況や本部の販売価格への関与の状況等を総合勘案して判断される、と整理しています。事務所は、ブランドの維持に必要な範囲にとどめ、値引きの承認を不当に拒否しない運用にするよう説明しました。

本部の支援は、「最低水準」として数字で書きました。ひな型の標準サポートは、オンライン中心・頻度は協議、現地研修などは有料オプション、という書き方でした。改訂後は、ロイヤリティ以外の対価なしで、①月1回以上のオンラインの定例面談、②問合せの窓口と営業日3日以内の回答、③開業準備の助言、④教材の提供と半年に1回以上の更新、⑤認定トレーナーへの指導の助言、⑥休業のときの代替対応の相談を標準支援とし、現地支援は申込みに基づく有料オプションで、料金・所要時間・交通費と宿泊費の上限を別紙に定め、実施前に見積りを示して承認を得る、実施日の7日前までのキャンセルは実費を除き無料、希望日の2週間前までの申込みと5営業日以内の回答、としています。休業については、30日以上に及ぶ見込みになったら事前に本部へ報告し、休業中の対象売上がゼロならロイヤリティもゼロという売上連動の算定を維持して最低保証額は設けない、90日に及ぶ場合は契約の維持か中途解約への移行を協議する、という運用を提案し、頻繁に見直す内容なので契約書本体より運用マニュアルに置く方が柔軟と助言しました。

お客様との契約の主体とトレーナーとの契約の主体も、ひな型では不明確でした。改訂後は、加盟店がお客様との役務提供契約の当事者であり、認定トレーナー・現場マネージャーとの契約の当事者であること、本部は知的財産の使用許諾・研修・標準支援・品質基準の設定の主体で、本部がお客様と直接契約するモデルは採らないことを明記しました。トレーナーの契約の当事者を本部、報酬の支払者を加盟店とする案についての回答は業務委託と労働者性のページで紹介しています。身体の安全(事前の健康状態の確認・中止の基準・事故の初動・保険)は事故・保険のページを参照してください。

三点契約のFC加盟契約の依頼者原案には、禁止事項の違反に対し、本部は性質・重大性に応じて、是正指導・文書の警告、契約条件の変更・営業活動の制限、ロイヤリティその他の対価の増額や支払の前倒しの要求、即時解除、損害賠償などを「単独で決定し講じることができ」、加盟店は本部の判断を不服としない、という条項がありました。本部の義務を具体化しないまま制裁だけを強めると反対の請求を招くこと、価格や条件の一方的な変更は独占禁止法上の優越的地位の濫用の観点で問題になり得ることからすると、制裁は「どの違反に・どの措置を・どの手続で」を事前に特定する方向で書くのが筋です。対価の一方的な増額を制裁として定める条項は、契約条件の一方的な変更として説明が難しくなります。

専用地域・法人化・相続・保証金・契約前の説明

  • 専用地域:店舗を中心とする一定の範囲とし、例外は別紙に明記した直営店・既存の加盟店に限り、他の加盟店への許諾や地域の縮小は加盟店の書面の同意を要する、周辺地域での追加の出店は優先的に協議する(将来の複数店舗の展開というヒヤリングの回答による)、としました(FCの競業とテリトリー)。
  • 法人化:個人の加盟者が法人化する予定だったため、契約上の地位の譲渡は原則禁止としつつ、法人化による承継を例外として新設しました(事前の通知・本部の承諾、承継前の債務の引受け、個人の免責は別に合意、加盟金などの再徴収なし、料率・地域・期間は維持、決済・保険などの外部の契約の承継手続への協力)。法人化後の代表者が認定トレーナーでなくても、店舗に認定トレーナーが別に確保されていれば代表者に研修の受講を求めない、承継後の商号に本部の名称などを含めるなら事前の承認、という定めも置いています。
  • 相続:加盟者(個人)が死亡したら契約は終了するが、相続人が事業を承継することを本部が承認したときは終了せず、加盟金・研修費の再徴収の有無などは法人化の承継の規定に準じて協議する、としました。
  • 保証金・連帯保証:今のところ考えていないが意見を聞きたい、という相談に対し、加盟店舗数が少ない初期の段階では導入しないことを提案しました。保証金は預かり金の管理・返還の条件・充当の順序(未払いのロイヤリティ・原状回復の費用など)を契約で定める必要があり、制度の設計と運用の手間が生じる一方、加盟金・研修費と中途解約金の算式で一定のリスクは手当てできているためです。未払いなどが現実になった段階で、新規の契約から保証金を検討する、という順序です(依頼者の判断で導入しないことに確定)。
  • 知的財産:商標は未登録との回答だったため、保護の対象を「名称、ロゴその他の表示(登録の有無を問わない)」と定義して使用許諾・終了時の除去の対象に含めつつ、未登録の表示は第三者の権利と抵触し得るので登録の有無・範囲を保証しない、としました。教材は利用許諾とし、「一切の権利」という移転を示すような表現を改め、加盟店の改善提案は加盟店に帰属して本部は無償の非独占的な利用許諾を受ける形にしています。
  • 契約前の説明:初期費用の内訳、標準支援の内容、収支が実績か見込みか、解除・中途解約の条件を書面で説明し、加盟店は理解したうえで締結する、という条項を新設しました。説明は打合せとは別に書面で行うよう勧めています。

のれん分け型の三点契約は、連動する部分を正面から書く

独立を支援するのれん分け型のFCでは、同じ相手と「設備を売る」「トレーナーとして働いてもらう」「加盟してもらう」の三つを同時に結ぶ構造があります。三点契約の依頼者原案(AIドラフト)では、事業資産の売買契約は、設備・什器・トレーニング機器、予約・顧客管理のシステムとデータ、顧客情報、集客のアカウントの運用権限などを対象とし、売買代金を一括ではなく各月の売上(税抜)の一定割合で分割して支払い、月の売上が一定額未満の月は支払が発生せず、累計の支払額が上限に達すれば残額を免除、利息・遅延損害金なし、のれんや将来の収益力は対象外で収益を保証しないことを相互に確認する、という内容でした。売上が低い月は支払わないことで独立者の負担を軽くし、上限で免除し、将来の収益を保証しないと明記する、という三つの工夫がある一方、売買価格と累計の支払上限の関係(上限が価格を上回るなら、その差は何の対価か)を説明できるようにしておく必要もあります。

業務委託契約には、売買契約と「契約上の性質および法的効力の点において独立」し、相互に条件や従属の関係を持たず、売買契約が無効・解除・終了となっても業務委託契約は独立して存続する、と書かれていました。ところが、依頼者の要望による改訂では、売買の分割支払金を業務委託の報酬から控除する方法(報酬相殺)に変え、売上低迷時の協議や終了措置の猶予(妊娠・出産・家族の病気・不可抗力など)の条件として「加盟者が施設の家賃を自己負担で継続して支払っている場合に限る」を業務委託・売買の双方に入れ、FC契約にはブランドの表示・営業時間や運営方法の変更の事前承諾・従業員の研修・立地や移転の承認・指定業者・帳簿と立入調査の条項を加えています。

三点契約の関係(一般化)

事業資産の売買契約

民法

売上連動の分割払い・上限での免除・収益の不保証。代金を報酬から控除すると業務委託契約と連動する。

トレーナー業務委託契約

民法・労働基準法・フリーランス法

報酬からの代金の控除は、受託者の責めに帰すべき事由のない減額と評価されないよう、相殺の合意の方法と時期を整理する。

FC加盟契約

民法・独占禁止法

加盟金・支援費用の返還、ロイヤリティ、営業の承認、制裁。家賃負担を条件とする猶予が他の契約と連動する。

三つの契約の関係

契約全体

「相互に独立」と書いても、報酬からの控除・共通の猶予の条件・売上未達による見直しが実際に連動していれば、一体として見られ得る。

「独立」と書いた条項と、実際に連動させた条項が同居すると、どちらが契約の実態かが争点になり得ます。

一般論として、こうした連動は、業務委託の部分の労働者性(業務委託と労働者性)、フリーランス法の報酬の減額・支払期日、優越的地位の濫用の観点で、一体として見られる可能性があります。三つの契約の関係を一枚の図にし、どの条項がどの契約に影響するかの一覧を作ったうえで、連動させる部分は連動させると正面から書く方が、後で「独立のはずだった」と争う余地を残すより安全です。

ヒヤリングの問いと理由 FC契約を作る前の確認

問いなぜ聞くか
  1. 加盟金・研修費で、何の費用を回収しますか。研修は何回・何時間ですか。
    終了の事由ごとの返還の算式と、研修の未実施の清算の基礎になります。
  2. ロイヤリティの対象売上は、税込ですか税別ですか。回数券はいつ計上しますか。
    料率表・本文・説明資料・精算の計算を一致させます。
  3. お客様の代金は、誰の名義で決済しますか。決済サービスの規約で可能ですか。
    確認できていない方式を、確定した運用として書かないようにします。
  4. 本部の支援は、何を・どの頻度で・いくらで行いますか。
    支援を最低水準として数字で書いてから、加盟店の義務と違約金を定めます。
  5. 全店一律の価格にしますか。値引きの承認の基準は。
    ブランドの維持に必要な範囲にとどめ、承認を不当に拒否しない運用にします。

よくあるご質問

パーソナルジムのFC加盟金は返還しないと決めてよいですか?

返還しないことを原則にすること自体はできますが、「理由を問わず返還しない」と書くと、本部の不履行や研修の未実施による終了にも及んでしまいます。本部の責めによる終了、加盟店都合の開業前の終了、研修の未実施などの事由ごとに、返還の算式を置いておく方が紛争を防げます。

回数券の売上は、ロイヤリティの計算でいつ計上しますか?

契約で決める事項です。販売時に全額計上するか、利用時点で計上するかで、段階料率の時期の負担や、返金があったときの扱いが変わります。現実に受け取った額のみを計上し、返金は返金月から控除し、回数券は利用時点で計上する、と定義した例があります。

加盟店に全店同一料金を守らせてもよいですか?

価格の制限は独占禁止法の拘束条件付取引などに当たり得る類型です。ブランドの統一的なイメージや品質の維持に必要な範囲にとどめ、値引きの承認を不当に拒否しない運用にすることが前提になります。

加盟店のトレーナーは本部と契約すべきですか、加盟店と契約すべきですか?

加盟店にそろえるのが基本です。契約の当事者を本部、報酬の支払者を加盟店と分けると、本部が実質的な発注者とみなされ、労働者供給・職業紹介・派遣や、フリーランス法上の義務が本部に及ぶおそれがあります。

個人で加盟した後、法人化したらFC契約はどうなりますか?

契約上の地位の譲渡を原則禁止にしていると、法人化には本部の承諾が必要です。法人化による承継を例外として、事前の通知と承諾、承継前の債務の引受け、加盟金の再徴収なし、料率・地域・期間の維持、決済や保険などの外部の契約の承継手続を定めておくと、手続が明確になります。

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